あのとき、

もう少し待てばよかった。

そう思ったことが、

一度もない人は少ないと思う。

 

急いで決めたことほど、

あとから気になる。

なぜ、あのとき、

あんなに焦っていたのだろう。

 

歯科治療は、

やり直しがきかない。

削った歯は、戻らない。

被せたものは、外せても、

元の歯は、もうない。

 

だからこそ、

迷っているなら、

迷っていていい。

 

「早く決めてください」と言われたら、

それは、誰のための言葉だろう。

決断を迫られたとき、

少しでも違和感があるなら、

その感覚を信じていい。

 

急がなければならない治療は、

実は、そう多くない。

待てるなら、待っていい。

考えたいなら、考えていい。

1週間でも、

1ヶ月でも、

1年でも。

 

答えが出るまで、

待つことができる医療がある。

 

急がないことは、

消極性ではない。

未来を守るための、

最も積極的な選択なのだと、

ようやく思えるようになった。

執筆者:SERENITAS by 表参道歯科アールズクリニック 院長 田中良一
東京医科歯科大学(東京科学大学)卒業
元 山王病院 歯科医長(審美歯科・歯周補綴担当)