執筆者:表参道歯科アールズクリニック 院長 田中良一
東京医科歯科大学(現:東京科学大学)歯学部卒業
元 山王病院 歯科医長(審美歯科・歯周補綴担当)
自然光に近い光が生み出す、安心と精度
診療室で過ごす時間は、患者さまにとって決して短くはありません。治療を受けるだけでなく、鏡の前でご自身の歯や口元をご確認いただく瞬間、カウンセリングで医師やスタッフと向き合う時間――そのすべてにおいて、院内の光はお一人おひとりの印象や安心感に深く関わっています。
当院では、審美的な治療の質をさらに高めるため、照明に「VITA LITE(バイタライト)」と呼ばれる特別な光環境を採用しております。
この照明は、一般的な歯科医院で使用される照明とは異なり、太陽の光に限りなく近い色再現性を持ち、長時間過ごしても目に負担をかけにくい、とても優しい光であることが大きな特徴です。見た目の美しさを追求するだけでなく、セラミックやダイレクトベニアといった補綴物の色合わせ精度、写真記録の確実性にも深く寄与し、治療の結果やご判断に関わる重要な役割を担っています。
以下では、患者さまの目線でわかりやすく、そして専門的な観点も含めながら、VITA LITEの利点についてご説明します。
VITA LITEとは
太陽光に最も近い光源
VITA LITEは、自然の光に最も近い広域連続スペクトルを持つ光源として開発された、特別な照明システムです。
一般的な蛍光灯やLED照明は、特定の波長の光が強く出る「不連続なスペクトル」を持つため、どうしても色の見え方に偏りが生じてしまいます。一方、VITA LITEは、290~380nm(ナノメートル)までの中近紫外線(UVA、UVB)のスペクトルエネルギー分布を、太陽光スペクトルエネルギー分布に近づけた設計となっています。
太陽光と同じ品質を実現する技術
色温度5500K(ケルビン)
これは太陽光とまったく同じ色温度です。晴れた日の自然な日差しの下で見たときと、ほぼ同じ色の見え方を室内で再現できます。
演色指数Ra91~94
演色指数とは、「物が実際そのままに見える度合い」を示す指標で、太陽光を100とした場合の数値です。VITA LITEは91~94という非常に高い演色性を示し、これは太陽光に最も近い演色性と言えます。
中近紫外線を放射していますが、日焼けはしませんので、長時間の診療でも安心してお過ごしいただけます。
自然光に近い「正確な色再現」
審美歯科治療では、天然の歯やお顔全体との調和を大切にしながら、補綴物の色を繊細に合わせていくことが求められます。歯の色味は、「白」という一言では到底言い表せないほど複雑で、透明感、明度、彩度、表面の質感など、いくつもの要素が重なり合って、その方だけの、唯一無二の歯の色を形作っています。
通常の蛍光灯やLED照明では、光源の色味によって、歯が黄みがかって見えたり、逆に青白く冷たい印象に映ることがあります。このような光の影響により、実際の歯の色とは異なる見え方になってしまうことも少なくありません。
VITA LITEは、自然光(太陽光)に近い色温度とスペクトル設計を持つため、歯が本来持っている色を正確に視認しやすくなる特性を備えています。
VITA LITE に期待できること
セラミックやダイレクトベニアの色選択がより正確に行える
微妙な色の違いも見分けやすくなるため、患者さまのご希望に沿った自然な仕上がりを実現しやすくなります。
技工所への色指示が明確になり、完成物とのズレが起こりにくい
歯科技工士との情報共有が高精度になることで、治療後の調整や作り直しのリスクを減らすことにもつながります。
術前術後の色の変化を患者さまご自身の目でも確認しやすい
治療の効果をより実感していただけるため、安心して次のステップに進んでいただけます。
“より自然で、自分らしい仕上がりを目指したい“――そう願う患者さまにとって、これは極めて大切な要素だと考えています。
目に優しく、落ち着きのある空間づくり
歯科治療は、緊張や不安を伴うことも少なくありません。特に審美治療を受けられる患者さまは、ご自身の繊細な想いや願いを抱えてご来院されることが多く、診療室で感じる空気感や光の質が、心理的な安心に大きく影響します。
VITA LITEは、「まぶしすぎず、影になりすぎず、目に負担をかけにくい光」**を実現するよう設計されています。
長時間の治療やカウンセリングでも目が疲れにくく、光によるストレスが抑えられるため、患者さまにとってもスタッフにとっても、穏やかで心地よい時間が流れます。
また、光が強すぎないことで、顔の陰影が滑らかに映り、診療台に座った姿勢でも「自分の表情が自然に見える」という安心感にもつながります。鏡をご覧になったときに、違和感なくご自身の姿を確認できることは、審美治療において想像以上に大切なことです。
精密な技術サポート ― 写真撮影・治療計画・技工所との連携
審美歯科では、治療前のお顔の写真や口腔内の記録、補綴物のシェード(色調)記録など、視覚情報の記録が治療の質を左右する重要な役割を果たします。
その際、照明によって歯の色味や質感が変わってしまうと、記録データと実際の見た目との間に乖離が生じ、治療計画に影響を及ぼす可能性があります。
VITA LITE環境下で撮影された写真は、実際の色により近い情報として保存できるため、以下のようなメリットが生まれます。
精密な記録がもたらす安心
歯科技工士との情報共有が高精度になる
写真や色見本を通じて、より正確な指示を伝えることができ、完成物の仕上がりが患者さまのご期待に沿ったものになりやすくなります。
仕上がりの予測が立てやすくなる
治療計画の段階で、より具体的なイメージをお伝えできるため、患者さまにとっても安心材料となります。
再調整が必要となるケースの減少にもつながりやすい
最初から精度の高い情報をもとに治療を進めることで、手戻りを最小限に抑えることができます。
医療としての「信頼性」、審美治療としての「再現性」――この両方を支えるために、照明は想像以上に大きな役割を担っているのです。
医療的安全性と快適性への配慮
患者さまの視認性だけでなく、医師やスタッフの作業性も考慮した光環境は、治療の安全性や効率にも深く関わります。
VITA LITEの光は影が少なく、細かな作業を行う際に視界が安定しやすいため、治療時の集中力や精密な操作性にも寄与します。
また、術中の視認性が高まることで、微細な色調や形態の調整が可能となり、結果的に治療時間や再調整を減らすことにもつながります。
患者さまにとっては、より短時間で、より精度の高い治療を受けられる環境が整うということです。
長時間滞在でも疲れにくい光環境
審美治療は、精密なケースほどカウンセリングや治療時間が長くなる傾向があります。一般的な照明では、目が疲れたり、色の見え方が途中で変わってしまうことがありますが、VITA LITEは光の分布が均一で質がやわらかいため、長時間の診療や色検証にも適しています。
カウンセリングでじっくりとお話をお聞きする時間、治療中に細部を確認しながら進める時間、そして鏡の前でご自身の変化を実感していただく時間――そのすべてにおいて、心地よく過ごしていただける光環境を整えています。
VITA LITEがもたらす総合的な価値
VITA LITEの光は、単に「よく見える照明」ではありません。それは、“美しさ“と“正確さ“の両立を支える医療基盤です。
審美歯科において「本来の笑顔を取り戻す」ことを大切にする当院にとって、その自然で穏やかな光は、治療の精度だけでなく、患者さまの心に寄り添う空間づくりにも欠かせない存在です。
ご来院の際には、ぜひ院内の光にも意識を向けてみてください。
ふと鏡をご覧になった瞬間、そこに映るお顔が自然で美しく感じられるよう、私たちは細部に至るまで、空間づくりにもこだわっています。
まとめ
VITA LITEは、審美歯科治療において欠かせない「正確な色再現」「目に優しい環境」「精密な記録と技術サポート」「高級感ある空間演出」「医療的安全性」「長時間でも疲れにくい快適さ」という、6つの大きな価値を私たちにもたらしてくれます。
それは、患者さまが安心して治療を受けられる環境であると同時に、医療者が最高の技術を発揮できる環境でもあります。
歯科治療は、ただ歯を治すだけではなく、笑顔や表情、そして心の豊かさにまでつながるものです。だからこそ、光ひとつにもこだわり、患者さまにとって本当に心地よく、美しく、信頼できる空間をつくりたい――そんな想いを込めて、当院ではVITA LITEを採用しています。
ご来院いただいた際には、ぜひその優しい光に包まれながら、ゆったりとした時間をお過ごしください。あなたの笑顔が、より自然に、より美しく輝くために、私たちは最善の環境をご用意してお待ちしております。
