金属アレルギーの人が歯の金属をなくしたい時は?
【最終更新日 2023/12/01】
金属アレルギーでお困りですか?
金属アレルギーのせいで、アクセサリーなどの金属でかゆみや湿疹が出てしまってお困りではありませんか?
金属アレルギーのある方は、身につけるものに金属がないかいつも気にしていらっしゃることでしょう。
にもかかわらず、歯の治療で銀歯にすることになって、どうしたらいいのかお悩みではありませんか?
銀歯が口の中にあって、アレルギーの原因になっているのではないかとお悩みではありませんか?
金属アレルギーの方が歯の金属除去をする時は
① 症状のある方は必ず皮膚科を受診してください。
現在、皮膚に何かの症状がある方は、ご自分で金属アレルギーだと思っていても別の病気の場合もありますので、必ず皮膚科を受診してください。
② 皮膚科の治療を中断しないでください
中には歯科治療を始めると、皮膚科の通院をやめてしまう人がいらっしゃいます。
口の中の銀歯がなくなることで、金属アレルギーが治ることを期待されているのだと思いますが、歯科の金属除去で金属アレルギーが良くなるとは限りません。逆に、金属アレルギー専門の歯科医院以外で金属を除去した場合、一時的に症状が悪化することもあります。また、銀歯を取り除いても3〜6ヶ月以上は症状が続くことが多く、1年以上経っても症状が変わらない人もいます。
皮膚科の通院を中断しないでください。
③ 口の中の金属以外が原因の場合があります
カラーコンタクトやアートメイク、タトゥーも金属アレルギーの原因になることがあります。
また、あなたの症状は銀歯などの金属が原因ではなく、慢性炎症が原因の場合もあります。
金属アレルギーの検査とは?
金属アレルギーの一般的な検査は「パッチテスト」です。
金属アレルギーのパッチテストのやり方は、皮膚表面(背中や腕)に金属を含んだ試薬を貼りつけて反応を見る検査で、通常、試薬を貼って24時間・72時間後・1週間後の判定をして最終的な診断となります。
金属アレルギー症状がない場合は基本的に保険では検査ができないため自費の検査となります。料金やスケジュールなど詳しくはおかかりの皮膚科でお尋ねください。
日本人に金属アレルギーが増えている原因
虫歯の治療で世界的には金属が使われなくなっています。
日本の保険治療で使われる銀歯に含まれる「パラジウム」は、毒性金属として使用を禁止されている国もあります。
このような金属が、なぜ日本では普通に使われているのでしょうか?
1960年頃、安価な「銅亜鉛合金」が保険診療に採用されようとした時、日本補綴歯科学会は「歯科用金属規格委員会」を設置し、「口腔内に使用する金属は、化学的、生物学的に安定した金あるいは貴金属合金であるべきで、日本国(政府)の(当時の)経済力からみて代用合金の使用もやむを得ないが、できるだけ早い時期に金合金に移行するべきである」としましたが、60年以上経った今日でも保険では代用合金(銀歯)が使われています。
保険では歯の治療の際、銀歯を使った治療が最も推奨され、また保険点数(料金)も樹脂をつめる方法より銀歯をつめる方法の方が高く設定されているため、歯科医師も手間のかかるダイレクトボンディング(樹脂をつめる方法)よりも簡単で収入の多い銀歯を選択することが多く、今でも毎日のように日本人の口の中に銀歯が埋め込まれ続けています。
銀歯で使用する金属は、12%金銀パラジウム合金といって、成分は
- 金12%
- 銀50%
- パラジウム20%
- 銅16%
- その他(亜鉛、インジウム、イリジウム等)
です。
実は金も含めてすべての成分に金属アレルギーを起こす可能性はあるのですが、なかでもパラジウムは、金属アレルギー検査で約半数の人に陽性反応が出ます。
今現在パラジウムにアレルギーがない人でも、いつもパラジウムと接触していると将来アレルギー反応を起こすかもしれません。ですから、ドイツやスウェーデンでは、「幼児及び妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と水銀・銀アマルガム合金を使用しない」と勧告されています。
このように有害な銀歯(金銀パラジウム合金)は、世界の中で日本でしか使われていません。
逆に欧米では、口腔内に入れた金属をすべて取り除くことが推奨されています。
日本における金属アレルギーの増加は、銀歯を第一選択としている歯科の医療保険に責任があると言っている皮膚科の医師もいます。
もしあなたが金属にアレルギーがあって、歯の治療で金属を詰めるのでしたら、事前にあなたがどの金属にアレルギーがあるのかを皮膚科で検査してもらってからの方が安全です。
歯科治療が原因の金属アレルギー
金属に直接触れたり、金属が体内に吸収されたりすることで、皮膚にかゆみや湿疹を起こす症状を「金属アレルギー」といいます。
金属アレルギーには、局所性のものと全身性のものがあります。
局所性金属アレルギーでは、金属が直接触れることでその部分にアレルギー反応を起こします。歯科では、銀歯に接触する頬の粘膜や舌が白く変色し、知覚の低下や粘膜の違和感、ひどくなると激しい舌の痛みや灼熱感を起こします。
全身性金属アレルギーでは、歯科治療で埋め込まれた銀歯などから金属が溶け出して腸管で吸収され、血液中を巡った結果、銀歯と離れた場所でアレルギー反応を起こします。溶けないと思われている金でさえ、少しずつすり減ってできる微粒子が体内に取り込まれます。
平均的には、銀歯を入れた5〜10年後に金属アレルギーが起きやすいと言われています。
アクセサリーでかぶれたことのある人は、既に金属に強いアレルギーが成立していますので、歯の治療で銀歯は入れないでください。
金属アレルギーを起こしやすい金属は?
金属アレルギーの原因金属の多くはニッケル、クロム、コバルトです。コバルトやクロムは義歯(入れ歯)の歯科治療に使われることがありますが、それ以外の歯科治療ではあまり使われていません。
歯科治療で多く使われているパラジウムも金属アレルギーを起こしやすい金属です。
金属アレルギーを起こしにくいのは白金(プラチナ)や金ですが、金は純金(24K)で使用されることは少なく、18K(75%が金)には銀、銅、パラジウム、ニッケルが使用されていて、アレルギーを起こすことがあります。
チタンは最も金属アレルギーを起こしにくいため、2020年6月より保険の歯科治療に導入されました。
金属アレルギーの症状
金属アレルギーにはさまざまな症状がありますが、それらが金属アレルギーとは気づかれないままになっていることが多いです。
- 手のひら、足のうらに慢性に生じる難治性小水疱
- 手足や体幹にできる、しこりを伴うたくさんのかゆい発疹
- 腰のまわりや太腿、肩甲骨の周囲にできる直径1〜5cmくらいの、さまざまな形の紅斑
- 慢性蕁麻疹
- 原因不明の全身症状(肩こり、頭痛、ほてり、めまいなど)
歯科で使われた金属が原因と考えられる金属アレルギーの治療
金属アレルギーを根本的に止める薬はありません。
治療は、原因となっている銀歯を口の中から除去することです。
銀歯を取り除いても3〜6ヶ月以上は症状が続くことが多く、1年以上経っても症状が変わらない人もいます。
ですから、歯の治療には初めから金属を使わないほうが安全です。