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臨時休診
午後休
執筆者:表参道歯科アールズクリニック 院長 田中良一
東京医科歯科大学(現:東京科学大学)歯学部卒業
元 山王病院 歯科医長(審美歯科・歯周補綴担当)
金属アレルギーのせいで、アクセサリーなどの金属でかゆみや湿疹が出てしまってお困りではありませんか?
金属アレルギーのある方は、身につけるものに金属がないかいつも気にしていらっしゃることでしょう。
にもかかわらず、銀歯が口の中にあって、アレルギーの原因になっているのではないかとお悩みではありませんか?
金属アレルギーが心配な方は表参道歯科アールズクリニックにご相談ください。
表参道歯科アールズクリニックは保険治療でも金属を使わない治療を行なっています。(国の健康保険では認められていない治療もありますので詳しくはご来院してご相談ください。)
こちらの記事では、歯科治療が遠因の金属アレルギーのメカニズムから、検査方法、そして金属除去治療について専門的な視点から解説します。
現在、皮膚に何かの症状がある方は、ご自分で金属アレルギーだと思っていても別の病気の場合もありますので、必ず皮膚科を受診してください。
中には歯科治療を始めると、皮膚科の通院をやめてしまう人がいらっしゃいます。
口の中の銀歯がなくなることで、金属アレルギーが治ることを期待されているのだと思いますが、歯科の金属除去で100%金属アレルギーが良くなるとは限りません。逆に、金属を除去した場合、一時的に症状が悪化することもあります。また、銀歯を取り除いても3〜6ヶ月以上は症状が続くことが多く、1年以上経っても症状が変わらない人もいます。
皮膚科の通院を中断しないでください。
カラーコンタクトやアートメイク、タトゥーも金属アレルギーの原因になることがあります。
また、銀歯などの金属が原因ではなく、慢性炎症が原因の場合もあります。
アレルギーとは、人体が本来無害な物質を異物とみなし、免疫反応を起こす状態です。これは私たちの体を異物から守る「免疫」というシステムが、特定の物質に対して過剰に反応してしまう状態のことです。本来、免疫は細菌やウイルスなどの有害なものから体を守るための大切な仕組みですが、食べ物や花粉、金属など、通常は体に害のないものに対してまで攻撃を始めてしまうことがあります。この過剰な免疫反応が、かゆみ、発疹、くしゃみといった様々なアレルギー症状を引き起こします。
金属アレルギーは、特定の金属に触れたり、体内に取り込まれたりすることで、皮膚や粘膜に炎症などのアレルギー症状が引き起こされる状態を指します。アクセサリーや歯科治療で使われる金属が原因となることが多く、日常生活において注意が必要です。
アレルギー反応には個人差があり、必ずしも金属と接触してすぐ症状が出るわけではなく、数時間~数日後に現れたり、ある日突然発症することもあります。
金属そのものが直接アレルギーの原因となるわけではありません。金属アレルギーは、アクセサリーや歯科金属などが汗や唾液に触れることで、ごく微量の金属が溶け出してイオン化し、体内のタンパク質と結合することが引き金となります。
このタンパク質と結合した金属イオンを、免疫システムが「異物(アレルゲン)」と誤って認識し、攻撃を始めることでアレルギー反応が起こるのです。特に汗をかきやすい夏場は、金属がイオン化しやすくなるため、症状が出やすくなる傾向があります。
金属アレルギーは、アレルゲンに触れてから症状が出るまでに時間がかかる「遅延型アレルギー」に分類されます。皮膚に金属が長時間接触することなどによって、金属イオンと体内タンパク質が結合し、それに対して感作・反応が起きると考えられています。その仕組みは以下の通りです。
金属が汗や体液に触れてイオン化し、皮膚や粘膜から体内に侵入します。
体内に侵入した金属イオンが、体のタンパク質と結合し、アレルゲンに変性します。
免疫細胞であるTリンパ球が、このアレルゲンを「敵」として記憶します。この状態を「感作が成立した」と言います。この段階では、まだアレルギー症状は現れません。
再び同じ金属が体内に入ってくると、記憶していたTリンパ球がアレルゲンを攻撃し始めます。
この攻撃の際に、炎症を引き起こす化学物質が放出され、かゆみや赤み、腫れ、湿疹などの皮膚炎といったアレルギー症状が現れます。
金属アレルギーは、症状が現れる範囲によって大きく二つのタイプに分けられます。
金属が直接触れた部分にのみ、かゆみや赤み、発疹などの症状が現れるタイプです。一般的に「金属かぶれ」とも呼ばれ、以下のようなものが原因となります。
歯科では、銀歯に接触する頬の粘膜や舌が白く変色し、知覚の低下や粘膜の違和感、ひどくなると激しい舌の痛みや灼熱感を起こします。
口の中の歯科治療で使われた金属(詰め物や被せ物)や、内服薬、食品に含まれる金属が体内に吸収され、血液によって全身に運ばれることで、金属が直接触れていない手足や背中など、体の様々な場所に症状が現れるタイプです。代表的な症状には、手のひらや足の裏に水ぶくれができる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」や、原因不明の湿疹などがあります。
歯科治療で用いられる金属は、長年にわたり口腔内の過酷な環境に耐えうる優れた材料として使用されてきました。しかしその一方で、これらの金属が原因で引き起こされる金属アレルギーは、口内炎や歯肉炎といった局所的な症状に留まらず、全身の皮膚炎など、原因不明とされてきた不定愁訴の一因となることが明らかになっています。
歯科で用いられる金属(いわゆる「銀歯」など)は、唾液によって常に湿潤な環境に置かれています。この環境下で、金属は微量ながらイオン化して溶け出します。溶け出した金属イオンは、口腔粘膜や消化管から吸収され、体内のタンパク質と結合します。
この「金属イオン+タンパク質」の複合体を、体を守る免疫システムが「非自己(アレルゲン)」と誤って認識してしまうことがあります。そして、このアレルゲンに対して攻撃を開始することで、アレルギー反応、すなわち炎症が引き起こされるのです。これが歯科金属アレルギーの基本的なメカニズムであり、「遅延型(IV型)アレルギー」に分類されます。
平均的には、銀歯を入れた5~10年後に金属アレルギーが起きやすいと言われています。
アクセサリーでかぶれたことのある人は、既に金属に強いアレルギーが成立していますので、歯の治療で銀歯は入れないでください。
日本の補綴歯科学会などによる調査では、パッチテスト陽性者のうち、2/3 以上が口腔内に陽性金属を含む補綴物を有していたという報告があります。(出典:補綴歯科ジャーナル2019年7月;63(3):309-312. 「日本における歯科金属アレルギーの現状」)
そのうち、金属除去治療を行った患者の約 55.6 %が何らかの症状改善を経験したとする報告もあります。
また、最近では チタン アレルギーの報告例もあり、チタンも完全に安全とは言えない可能性が指摘されています。
1960年頃、安価な「銅亜鉛合金」が保険診療に採用されようとした時、日本補綴歯科学会は「歯科用金属規格委員会」を設置し、「口腔内に使用する金属は、化学的、生物学的に安定した金あるいは貴金属合金であるべきで、日本国(政府)の(当時の)経済力からみて代用合金の使用もやむを得ないが、できるだけ早い時期に金合金に移行するべきである」としましたが、60年以上経った今日でも保険では代用合金(銀歯)が使われています。
保険では歯の治療の際、銀歯を使った治療が最も推奨され、また保険点数(料金)も樹脂をつめる方法より銀歯をつめる方法の方が高く設定されているため、歯科医師も手間のかかるダイレクトボンディング(樹脂をつめる方法)よりも簡単で収入の多い銀歯を選択することが多く、今でも毎日のように日本人の口の中に銀歯が埋め込まれ続けています。
銀歯で使用する金属は、12%金銀パラジウム合金といって、成分は
です。
実は金も含めてすべての成分に金属アレルギーを起こす可能性はあるのですが、なかでもパラジウムは、金属アレルギー検査で約半数の人に陽性反応が出ます。
今現在パラジウムにアレルギーがない人でも、いつもパラジウムと接触していると将来アレルギー反応を起こすかもしれません。ですから、ドイツやスウェーデンでは、「幼児及び妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と水銀・銀アマルガム合金を使用しない」と勧告されています。
日本における金属アレルギーの増加は、銀歯を第一選択としている歯科の医療保険に責任があると言っている皮膚科の医師もいます。
もしあなたが金属にアレルギーがあって、歯の治療で金属を詰めるのでしたら、事前にあなたがどの金属にアレルギーがあるのかを皮膚科で検査してもらってからの方が安全です。
金属アレルギーの原因金属の多くはニッケル、クロム、コバルトです。コバルトやクロムは義歯(入れ歯)の歯科治療に使われることがありますが、それ以外の歯科治療ではあまり使われていません。
歯科治療で多く使われているパラジウムも金属アレルギーを起こしやすい金属です。
金属アレルギーを起こしにくいのは白金(プラチナ)や金ですが、金は純金(24K)で使用されることは少なく、金合金には銀、銅、パラジウム、ニッケルが使用されていて、アレルギーを起こすことがあります。
歯科治療では、詰め物(インレー、アンレー)、被せ物(クラウン)、ブリッジ、入れ歯の金属フレーム、矯正装置、金属支台などに複数種類の金属・合金が使われています。
口腔内は湿潤環境であり、 pH やイオンの交換、咀嚼刺激、食物・飲料の化学的刺激などによって金属が腐食・イオン化しやすい条件です。これにより金属イオンが唾液に溶け出し、局所および全身に影響を与える可能性があります。
歯科金属によるアレルギー症状は口腔内にとどまらず、全身性の皮膚症状(掌蹠膿疱症、湿疹、皮膚炎、脱毛、関節炎様症状など)を引き起こすことが報告されています。
ただし、すべての金属使用がアレルギーを引き起こすわけではなく、多くの患者で無症状です。
歯科金属アレルギーによる症状は多様であり、診断が難しい場合もあります。以下に主なものを示します。
金属が直接触れている口腔粘膜やその周辺に現れる症状です。
口腔内から吸収された金属イオンが、血流に乗って全身に運ばれることで、口から離れた部位に皮膚症状などを引き起こします。歯科金属が原因であると気づかれにくいため、長年皮膚科に通院しても改善しない場合があります。
これらの症状が、口腔領域と関連付けられず、長年皮膚科などで治療を受けていても改善しないケースもあります。
金属アレルギーが疑われる場合、皮膚科やアレルギー科で検査を受けることができます。
最も一般的な検査は「パッチテスト(医科にて実施)」です。
金属アレルギーのパッチテストのやり方は、ニッケル、コバルト、クロム、パラジウム、金、水銀など、歯科治療で用いられる主要な金属試薬を染み込ませたシールを背中などに貼り付けます。48時間後、72時間後、場合によっては1週間後に皮膚の反応(赤み、腫れ、水疱など)を判定し、どの金属に対してアレルギーがあるかを特定します。
金属アレルギー症状がない場合は基本的に保険では検査ができないため自費の検査となります。料金やスケジュールなど詳しくはおかかりの皮膚科でお尋ねください。
金属アレルギーの根本的な治療法は、原因となる金属を特定し、その金属との接触を避けることです。歯科金属が原因であれば、アレルギーを起こしにくい材質(セラミックやレジンなど)に交換する治療が行われます。
金属アレルギーを根本的に止める薬はありません。
口腔内の金属がアレルギーの原因であると確定した場合、その原因金属を口腔内から除去し、アレルギーを引き起こさない代替材料に置き換える「金属除去治療」が行われます。これは「メタルフリー治療」とも呼ばれます。
銀歯を取り除いても3~6ヶ月以上は症状が続くことが多く、1年以上経っても症状が変わらない人もいます。
金属を除去して保険適応のダイレクトボンディングという治療法で歯を修復しています。
保険のダイレクトボンディングについてはこちらをお読みください。
金属をすべて除去しても改善が見られなかった症例もあり、補綴除去だけでは解決しないケースがある点も報告されています。
原因金属を完全に特定できないことがあり、除去治療で改善が得られないこともあります。
金属を除去すれば必ず改善するわけではありません。除去後も症状が残る、あるいは改善がゆっくりであったという報告もあります。
症状の発現は遅延型であるため、金属導入から数年後に発症することもあり、因果関係の立証が難しい場合があります。
複数種類の金属を異なる部位に使用していると、どれが主因か特定しにくいことがあります。
除去・置換治療が不適切であれば、歯質の損失や構造的弱化を招く可能性があります。
補綴の機能性・耐久性との兼ね合い(強度・破折リスク)を無視できません。
コスト負担(自費部分など)が大きくなることがあります。
長期間の観察が必要で、治療効果が現れるまで時間を要することがあります。
表参道歯科アールズクリニック
東京都渋谷区神宮前4-2-17 青山R夏野ビル3a
表参道駅A2出口より徒歩1分
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臨時休診
午後休
歯科金属アレルギーは、口腔内金属が原因となり、局所および全身症状を引き起こす可能性があります。原因除去療法(補綴の金属除去 → 仮歯 → 再補綴)は、改善効果が得られる可能性があるが、100 %成功するわけではありません。補綴除去をしても必ず症状が改善するとは限らないため、あくまで「可能性を上げる」治療と認識しておくことが重要です。使用材料(詰め物・被せ物)の種類について、事前に歯科医師と十分相談し、金属を含まない選択肢を提示してもらうことが大切です。金属の除去を行う際には、信頼できるメタルフリー対応の歯科医院や設備・技術を有する歯科医師を選ぶことが望ましいです。