歯の色や形、かみ合わせを整えるために、細かな部分を確かめ、調整する時間と環境を確保します。当院では、診療内容に応じた時間をあらかじめ取り、歯の色を比較する照明、細部を確認する拡大鏡、長時間の診療を考えた診療ユニットを整えています。

診査から治療、メインテナンスまで、歯や修復物の表面と境目を拡大して確認しながら進めます。また、器具の滅菌や診療室の清掃に加え、お口に触れる水が通る給水管や吸引回路も含めて、日常的に診療環境を管理しています。

完全貸切による診療時間

当院では、同じ時間帯にほかの患者さんの予約を入れていません。ご予約の時間にはお待たせせずに診療を始め、治療の途中で別の患者さんの診療に移ることもありません。

一回の診療時間は、処置の内容によって1時間から6時間ほどです。その日に必要な処置に合わせて時間をあらかじめ確保し、短い時間で終えることを基準に診療を進めることはしていません。

ほかの患者さんと顔を合わせずに過ごせることに加えて、別の患者さんの診療による中断もありません。予定した診査や処置、ご説明を、一人の患者さんのために確保した時間の中で進めます。

診療に必要な環境を整えるために

設備がそろっているだけで、治療の結果が決まるわけではありません。当院では、新しい設備や高価な設備であることよりも、日々の診療に必要な条件を整えられるかどうかを基準に選んでいます。

歯の色を確認するときには、色を比較するための照明が必要です。数時間に及ぶ診療では、患者さんが長く過ごす診療ユニットも診療環境の一部になります。また、歯を削るときの注水やうがいの水がお口に触れるため、給水管や吸引・排水回路の衛生管理も欠かせません。

ここでは、当院で使用している設備について、実際の診療で何のために使っているのかをご紹介します。

歯の色を確認する照明

VITA-LITE

歯の色は、照明によって見え方が変わります。診療室では周囲の歯と合って見えていても、別の光の下では違って見えることがあります。

とくに前歯を修復するときには、隣にある天然歯と明るさや色みがどのようにつながって見えるかを確認する必要があります。

当院と技工所では、どちらもVITA-LITEを光源として使用しています。歯の色を読み取り記録する診療室と、修復物を製作する技工所で、色を比較する照明条件をそろえるためです。

VITA-LITEの色温度と演色性

VITA-LITEは、自然光に近い分光分布になるよう設計された光源です。分光分布とは、光に含まれる各波長の割合を示したものです。

色温度は5,500K、平均演色評価数はRa94で、290〜380nmの紫外線域も含んでいます [1]。

色温度は、光そのものの色を表す目安です。一方、演色性は、その光の下で物の色がどのように見えるかを示します。平均演色評価数Raは、基準となる光の下での見え方にどれだけ近いかを数値で表したものです [2]。

自然光は、時刻や天候によって状態が変わります。一定の特性を持つ人工光源を使うことで、採色のたびに照明条件が変わることによる判断のばらつきを減らし、周囲の天然歯と比較しやすくしています。

紫外線による蛍光の確認

天然歯には、紫外線などを吸収して可視光を放つ「蛍光性」があります [3]。

VITA-LITEには紫外線域の光も含まれていますが、当院ではブラックライトの下でも天然歯と修復物を比較しています。天然歯と修復物の蛍光が、それぞれどのように見えるかを確認するためです。

長時間の診療で使用する診療ユニット

KaVo ESTETICA E70/E70 Vision

診療ユニットは、治療を行うための設備であると同時に、患者さんが一回の診療時間を過ごす場所でもあります。当院では、KaVo ESTETICA E70とESTETICA E70 Visionを使用しています。

サスペンド式チェア

ESTETICAは、患者さんの体格に合わせて位置を調整できます。また、チェアを床から支える部分を患者さんの直下に置かない、サスペンド式の構造になっています。

チェアの下に空間があるため、歯科医師とアシスタントが患者さんの周囲を移動し、処置に必要な位置を取りやすくなっています [4]。

当院では、一回の診療が数時間に及ぶことがあります。そのため、患者さんが長時間過ごす椅子の快適性と、術者が無理のない位置で処置を続けられることの両方を、診療ユニットを選ぶ際に大切にしています。

お口に触れる水の衛生管理

歯科治療では、歯を削るときの注水や、うがいのための水など、診療ユニットの内部を通った水がお口に触れます。

ESTETICAには、給水管を衛生的に管理する二つの仕組みがあります。一つは低濃度の過酸化水素水を用いる常時水消毒で、もう一つは濃度を高めた過酸化水素水で水路管を処理する集中水消毒です [5]。

また、唾液や血液などを吸い取るバキュームと排水の回路には、専用の洗浄剤で内部を自動洗浄するハイドロクリーン機能があります [6]。

当院では、器具の滅菌や診療室の清掃に加え、お口に触れる水が通る管と、吸引したものが通る回路も衛生的に管理しています。

拡大鏡を使用する診査・処置

Carl Zeiss

当院では、診査から修復治療、治療後のメインテナンスまで、口腔内の処置を拡大鏡による拡大視野のもとで行っています。

治療をするときだけでなく、定期的な確認や清掃の際にも拡大鏡を使用します。歯や修復物の表面に加えて、歯と修復物の境目も拡大して確認しながら進めています。