矯正治療を終えたあとに、「食べ物を噛みにくい」「特定の歯だけが当たる」「奥歯が噛み合っていないように感じる」といった不調が残ることがあります。見た目の歯並びが整っていても、食事で困っていることや、歯・顎の違和感があれば、その状態をお聞かせください。
当院では、矯正後の噛み合わせの不調について診査し、修復・補綴治療で対応できるかを検討します。歯の接触や、詰め物・被せ物の形に治療すべき問題が認められる場合には、どの歯をどのように治療するか、その理由と見込める変化をご説明します。
噛み合わせの不調に対する診査
「噛み合わせが合わない」という感覚には、歯の接触だけでなく、歯や歯ぐきの病気、顎関節や周囲の筋肉の状態が関わる場合もあります。矯正後に症状が始まったという経過は大切ですが、それだけで原因を矯正治療や歯の接触と決めることはできません [1][2]。
初めに、どこが気になるか、いつから変化したか、噛むとき・口を開けるとき・何もしていないときのどの場面で困るかを伺います。歯と修復物、歯ぐき、上下の歯の接触、顎の動きや痛みを確認し、必要に応じて写真、エックス線、模型などを用いて検討します。
歯が当たる場所を調べるだけでなく、その所見が訴えている不調を説明できるかを考えます。原因がはっきりしない段階では、歯を削る量や被せ物を作る本数を先に決めず、追加の診査や専門的な評価の必要性を検討します [1]。
修復・補綴治療の対象となる歯や修復物の状態
上下の歯の接触は、歯の位置と、歯や修復物の形との組み合わせで決まります。現在の歯の位置を確認し、形を直すことで必要な接触を回復できるかを検討します。
詰め物・かぶせ物の接触や形の不具合
以前に治療した歯について、現在の歯の位置で上下の歯がどう接しているかを確認します。特定の修復物が先に当たるなど、症状と対応する問題が確認できれば、調整や補修、作り直しを検討します。調整で済むかは、削ったあとに必要な厚みや形を保てるかも含めて判断します。
歯や修復物の欠け・摩耗による接触の変化
歯や修復物の一部が欠けたり、すり減ったりしている場合には、失われた形と接触を材料で補えるかを検討します。部分的な修復で対応できる場合もあれば、残っている歯の量や力のかかり方から、より広い範囲を覆う修復が必要な場合もあります。
複数の歯にわたる噛み合わせの回復
複数の修復物や欠損が関係し、一つの歯だけを治しても必要な接触を作れない場合は、上下の歯を含めた計画を立てます。不調があるという理由だけで広い範囲を治療するのではなく、どの歯に処置が必要か、残せる修復物はあるかを確認します。
治療範囲と方法の検討
診査後には、不調に関係すると考えられる所見、治療の目的と範囲をご説明します。歯を削る場合は、その理由と量、材料を加える方法で対応できないかを確認します。歯の位置を変える必要があれば、修復で対応する範囲と、矯正の再評価が必要な範囲を分けてご説明します。
顎関節や筋肉の評価を優先する場合
顎の痛みや口の開けにくさがある場合は、顎関節や筋肉の問題も調べます。顎関節症の症状を治すことだけを目的に、歯を削ったり被せ物で噛み合わせを変えたりする治療は勧められていません [1][2]。修復・補綴治療が適さない場合も、その理由と、必要な診査や相談先をご説明します。
歯の接触の異常が見つからなくても、不調がないということではありません。調整しても改善しなかった経過もお聞かせください。原因が不明なまま調整を繰り返さず、必要に応じて顎関節症や口腔顔面痛を扱う医療機関での評価を検討します [1]。
仮歯による噛み合わせと発音の確認
被せ物による治療が必要と判断し、歯の形や接触を大きく変える場合には、必要に応じて仮歯を使います。食べ物を噛めるか、特定の歯に負担を感じないか、会話で困ることがないかを確認します。気になる場所と場面をお伝えください。診察での所見と合わせて、形を調整します。
歯への負担、期間と費用
歯を削る処置は元に戻せず、しみることがあります。修復物には欠けや摩耗などが生じるため、治療後も歯・歯ぐき・修復物・噛み合わせの確認が必要です。歯の状態によって見通しは異なり、不調のすべてが修復だけで改善するとは限りません。
治療前に、処置する歯と範囲、見込める改善と限界、通院回数・期間・費用をご確認ください。仮歯で確認する期間も含めてご説明します。通院できる頻度や予定が決まっている方は、計画を立てる際にお伝えください。
ご相談の前にお伝えいただきたいこと
予約時には、矯正後の不調を相談したいことと、矯正治療の終了・通院の状況をお知らせください。診察では、矯正を終えた時期、不調が始まった時期、受けた調整や治療とその後の変化を、分かる範囲でお聞かせください。
保定装置(リテーナー)の種類と使用状況もお知らせください。取り外し式は診察時にご持参ください。歯の形を変えると装置が合わなくなることがあるため、修復前に、保定担当医へ装置の調整や作り直しが必要かをご確認ください。使用は担当医の指示に従ってください [3]。
他院で矯正を終えた方も、当院での治療を検討する通常の初診としてご相談いただけます。他院での治療との並行診療は控えているため、通院中の方は予約時に状況をお伝えください。手元に治療記録や写真があればご持参ください。



