矯正で歯並びを整えたあとに、前歯の形や長さ、残った隙間が気になることがあります。歯の状態によっては、コンポジットレジンという歯科用の樹脂を接着し、必要な部分に形を足す修復を検討できます [1]。

当院では、矯正後の前歯についても、現在の歯の位置を前提に、部分的な修復で見た目を整えられる範囲をご説明します。気になる部分と、どのように変えたいかをお聞かせください。

歯の形・位置の診査

前歯が短く見える、左右の大きさが違う、先端が欠けているといった場合は、歯そのものの輪郭に加えて、歯の位置や傾き、歯ぐきの高さを確認します。同じ「長さをそろえたい」という希望でも、先端に材料を足して整えられる場合と、形を足すだけでは希望する見え方にならない場合があります。

材料を歯の横に足せば幅が増し、表側に足せば厚みが増します。先端を長くすると、下の歯との接触も変わります。歯の位置はそのままで輪郭を変えるため、希望する形を作れるかを、残っている歯の状態とかみ合わせから判断します。

歯をできるだけ削りたくない方は、そのご希望もお伝えください。診査後に、材料を加えるだけで対応できる範囲と、歯を削る必要があるならその理由をご説明します。

歯と歯の間の隙間に対する修復治療

隣り合う歯の間に隙間がある場合は、片側または両側の歯に材料を加え、歯が接する部分を作る方法を検討します。どの歯にどの程度加えるかは、隙間の広さだけでなく、元の歯の幅や長さ、隣の歯との関係で変わります。

隙間を閉じるために幅を足すと、歯の長さを変えなくても横に大きく見えることがあります。隙間がなくなることに加えて、その幅をご本人がどう感じるかも、形を決めるうえで確かめたい点です。厚みや上下の歯の接触に無理が生じる場合は、材料を足す方法だけでは対応できません。

横幅が気になる方は、治療前にお伝えください。形を検討する際には、どの歯のどこに材料を加えるか、隙間を閉じると幅がどのように変わるかをご説明します。

歯ぐき側の黒い三角形の隙間

歯どうしが接していても、その下の歯ぐき側に黒い三角形の隙間が見えることがあります。これは「ブラックトライアングル」と呼ばれ、歯と歯の間の歯ぐきが、歯の接する位置まで届いていない状態です。歯の形や接触する位置、歯ぐきを支える骨の高さなどが関係します [2]。

歯の側面に材料を加え、接する部分を歯ぐき側へ延ばすことで、隙間を目立ちにくくできる場合があります。ただし、修復材料で骨や歯ぐきそのものを回復できるわけではありません。歯を大きくしすぎたり、歯間の清掃を妨げたりしない範囲で、どこまで形を変えられるかを検討します。

歯ぐき側の隙間について、原因と修復で変えられる範囲は「歯ぐきの見え方」で説明しています。

模型による形の検討と保定装置への対応

当院では、必要に応じて型を採り、模型上で仕上がりの形をワックスで作ります。どの部分に材料を足すか、幅と長さがどう変わるかを検討し、修復する範囲を決めます。ダイレクトボンディングでは、その形を口の中に移すためのシリコーン製の枠を使って処置する場合があります。

ご希望を細かな言葉にする必要はありません。「この歯だけ小さく見える」「隙間は閉じたいが、歯が大きく見えるのは避けたい」など、気になる見え方をそのままお伝えください。治療前後の写真がお手元にあれば、気になり始めた時期を確認する参考になります。

歯の形の変更に伴う保定装置の確認

矯正後に歯の位置を保つ装置を、保定装置(リテーナー)といいます。取り外し式と歯の裏側に固定するものがあり、装着方法は矯正を担当した歯科医師の指示に従います [3]。

歯を覆う取り外し式の装置は、その歯の形に合わせて作られています [4]。歯の形を修復で変えると、これまでの装置が合わなくなる可能性があるため、処置後も保定を続けられるよう、修復を始める前に対応を確認する必要があります。

保定中の方は、ご相談の予約時に、装置の種類と矯正医院への通院状況をお知らせください。取り外し式の装置をお持ちの場合は、診察時にご持参ください。修復する歯が決まったら、矯正を担当した歯科医師にも形を変える予定を伝え、装置の調整や作り直しが必要か、いつ行うかをご確認ください。

すでに装置が入らない、装着すると痛い場合は、無理に押し込まず、矯正を担当した歯科医師へご連絡ください [4]。

修復材料の着色・摩耗・欠けと治療後の管理

コンポジットレジンには、使用するうちに着色や摩耗、欠けが生じることがあります。治療後も、材料の表面や境目、歯ぐき、かみ合わせを確認し、状態に応じて研磨や補修などを検討します。形を整えたあとも、保定装置の使用は担当医の指示に従ってください [3]。

治療を受ける前に、修復する本数と範囲、必要な回数、費用をご確認ください。保定装置への対応が必要な場合は、その担当先と費用も合わせて確認します。

初診時に確認する希望・症状・矯正治療歴

気になる歯と変えたい形、隙間の場所、矯正治療を終えた時期を、分かる範囲でお聞かせください。食べ物が挟まる、磨きにくい、最近隙間が広がったといった変化があれば、そのこともお伝えください。隙間の種類や原因を、ご自身で判断していただく必要はありません。

当院でご案内するのは、矯正後の前歯の形や隙間を、修復治療で整えるための診査と治療です。歯を動かす矯正の再治療や、矯正後に生じた噛みにくさ・顎の症状を主な目的とするご相談には対応していません。そうした症状が主なお悩みの場合は、矯正を担当した歯科医師にまずご相談ください。

診査後に、修復で対応できる範囲と理由、歯への負担、期間・費用をご説明します。説明をお聞きになってから、治療を受けるかどうかをお決めください。

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